双子の二人だけが理解できる”双子語”を使い、放火や窃盗を共犯した事で有名なサイコパスの双子、「ギボンズ姉妹」について紹介する。
ムコQ
今回の記事は、海外のテレビ映画「The Silent Twins」のテーマにもなった有名なサイコパスの双子、ギボンズ姉妹について書いていこうと思う。
世間からは、「犯罪サイコパス姉妹」などと一言に纏められ君悪がられてしまいがちだが、この姉妹には多くの苦悩があったのだろう。詳細は以下の通り。
双子以外は会話に混ざれない、まさに「サイレントツインズ」
1963年4月11日に産まれた、一卵性双生児のJune Gibbons(以下、ジューン。画像左。)と、Jennifer Gibbons(以下、ジェニファー。画像右。)は、2人の間だけで通用する独自の言語、通称”双子語”を喋っていた。
彼女らが使う言葉は小鳥のさえずりのように聞こえ、家族ですら全く理解できなかったという。周りの人を置き去りにし、二人だけの世界で会話していたことから、「サイレントツインズ」というあだ名を付けられることになった。うん、ちょっとかっこいい。
双子語とは
ギボンズ姉妹の話の前に、”双子語”とはどういうものなのか少し深掘りしてみよう。
双子には、二人の間だけで通用する独自の言語である、いわば”双子語”が発現するケースがある。そしてその殆どが、幼いうちに消えてしまう。
しかし彼女らの場合、10代になっても残っており、これはかなり珍しい例らしい。
安心と信頼のWikipediaには、以下のように書いてあった。
出生から複数の言語にさらされる子供たちは双子語を発達させることが多いが、これらの言語は通常比較的幼い間に消え、接する言語の一方または両方を使い出す。
また、親(当然ながら双子でないことが多い)が気味悪がってやめさせる例もある。
ジューンとジェニファーが使っていた言葉
ジューンとジェニファーはカリブ海移民族の一家に生まれ、その後バルバドスからイギリスに越している。
その為、この二人が喋っていたのは、バジャン語(バルバドスで使われることのある、英語ベースのクレオール言語。)と呼ばれるものに似ていたと言われている。
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ちなみに、双子の間で交わされたバジャン語はかなり高速だった様で、小鳥のさえずりのように聞こえ、周囲からは気味悪がられていたらしい。別言語だとはいえ、高速すぎて小鳥のさえずりに聞こえるって相当である。
クレオール言語とは、意思疎通ができない異なる言語圏間で交易を行う際に、商人らなどの間で自然に作り上げられた言語の事。
日本にゆかりがあるクレオール言語でいうと、”小笠原語”という英語と日本語が混ざったようなものもあるらしい。
この動画は、台湾で話されている「ニホンゴ」
本編にはあまり関係ないけど、なんとなく双子語についてイメージしやすいかなって思ったので貼り付けておくね🤔
ジューンとジェニファーの歪んだ絆
子供の頃
ジューンとジェシファーは、当時イギリスの学校で唯一の黒人の子供として、いじめの対象となってし待っていた。周囲の呼びかけに返事すらせず、英語の読み書きも拒否し、先生に早く帰させられることもしばしばであった。
さらに、学校に通い始めた頃から、異様な同時行動が目立つ様になる。同時に腰を曲げ、アヒルの様に不恰好な姿で歩くこともあり、周囲は彼女らに奇異の目を向けた。
ジューンとジェシファーは、この奇妙な行動や独自の言語で、家族すらも入り込めない独特な世界を”あえて”作り上げていたのかも知れない。彼女ら二人は、学校に友人が全くいなく孤立しており、二人で作り上げた世界にさらにのめり込んでゆく事になる。
歪み始めた二人の絆
しかし、学校生活が進むにつれ、双子の二人の間で徐々に違いが出てくる。
ジューンの成績が上がっていくのに対しジェシファーは最下位のまま。感情面でも、ジューンは比較的にバランスが取れていたが、ジェシファーは起伏が激しく、他にも様々な面でジェシファーが劣っていた。
ジェシファーは、「ジューンよりも10分遅く産まれたことで、全ての面で劣っている」と感じていたのだ。
そんな強い劣等感もあり、ジェシファーは次第に、「ジューンを支配し、目に見える違いを全て無くし、事実上1人の人間になる事」を望むようになった。
後のインタビューでジューンが語った事だが、学生時代の異様な同時行動(アヒルの様な格好で歩くのとか)は、実は、ジェシファーに強いられたものだった。
ジェシファーの支配はよくない方向へ
ジューンは、ジェシファーからの支配から自由になりたいと思いながらも、ジェシファーの言いなりになってしまっていた。
やがて二人は、10代でアルコールや薬物に手を出し始め、放火や窃盗などの犯罪を共犯する様になる。当然の様に二人は逮捕されたが、彼女らは外部と一切コミュニケーションを取ろうとはしなかった。
後の裁判で二人はサイコパスと診断され、彼女らが19歳のとき、当時のイギリスで最も劣悪だと噂されていたブロードムーア特殊病院(現在のブロードモア高度保安病院)に無期限の入院拘束が宣言された。この病院は、「ブロードモア犯罪狂人収容所」という異名を持つ。
当時のこの病院が如何に”ヤバイか”は、「ブロードムーア病院」とgoogleで検索してみれば分かる。収容された患者が、伝説的な猟奇犯罪を数多く起こしていることで有名だ。
ムコQ
ヤングは、収容後1ヶ月で、病院の周囲に自生してる月桂樹の葉から青酸カリを抽出して殺人を図ったとされているよ。これも本編には関係ないけど。恐ろしいね。
入院後
入院後も、彼女らの葛藤は続いた。お互いの存在無しではいられないほどの激しい恋愛感情があったものの、これ以上ないほど憎しみあい、お互いを殺そうと考えたほどだった。愛と憎悪は表裏一体とはよく言ったものだね。余談だけどfeat.ヒソカさんだよ。
彼女らは同室になれば喧嘩をし、別室になれば「相手だけがいい思いをしているのではないか」と疑心暗鬼になり、自殺未遂するほどの憔悴する日々が続いた。お互い、嫌でも関心を持ってしまうんだろうね。
ジェニファーの死
画像:https://toshidensetsu-ikki.com/accident/silent-twins より
1993年。入院から10年の月日が過ぎ、別の精神病院に移送された直後、ジェニファーは急性心筋炎を起こし、29歳でこの世を去ってしまう。当然、ジューンによる他殺が疑われたが、不審な点は何も見つからなかった。
上の画像は、1993年3月に撮影されたもの。半年後の同年9月、ジェニファーはこの世を去った。
ジューンからすれば、ジェニファーによる長年の呪縛から解放された瞬間である。後日、ジューンの日記には、「とうとう、私は自由になれた。ジェニファーは、私のために自分の命を諦めたのね。」と綴られたのだった。
まあその考え方もゾッとするけどね。双子の”私こそがオリジナルだ”精神って結構怖いね。
まとめ
双子に生まれ、まさに運命共同体として犯罪を働いたギボンズ姉妹。結果的に歪んでしまった絆は、2人を苦しめる事になった。
ジェーンは退院後、社会復帰を果たしたという。
余談だが、「ドッペルゲンガー」を殺して、”自分はオリジナルだ”と証明するサイコホラー映画はいくつかあり、有名なので言えば2019年の「Us」などがある。
双子の葛藤や、同じ考えや同じ格好の相手に持つ優劣感、サイコパスの発想などは軽く常識を超え、彼女らにしか理解し得ないものなのだろう。
固執したくなくても、固執してしまう相手が生まれながらいる。一度きりの人生を、他人に支配されるというなんとも切ない話だ。
ムコQ
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