ーー1912年、古書籍商ウィルフリード・ヴォイニッチが南ヨーロッパのとある寺院で発見した古文書:ヴォイニッチ手稿。
240ページに及ぶ、謎の未解読文字と生物を思わせるような色鮮やかな挿絵。この内容を解き明かした者は未だ誰一人としていない。
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ヴォイニッチ手稿。またの名で「世界一ミステリアスな写本」とも呼ばれている。
そもそもこの”ヴォイニッチ”というのは発見者のウィルフリード・ヴォイニッチにちなんでいるだけだ。実際の名称は分かっていない。
何の目的で、何が書いてるのか、何の言語なのかすら分かっていないーーまさにミステリアスな写本なのだ。
ヴォイニッチ手稿のデータ
まずはこの本そのもののデータを整理してみた。
- 大きさは 23.5cm × 16.2cm
- 厚さは 5cm
- 約240ページ
- 材質は羊皮紙
- 左から右読み
- 未解読の文字が記され、多数の奇妙な絵が描かれている
- 作者・執筆時期については諸説あり
大きさはかなり小さめ。辞書みたいなフォルムだと考えるのが妥当かもしれない。
未解読の奇妙な文字と絵が描かれているこの本。文字が読めない現在、奇妙な絵だけが内容を暴く重要な手がかりなのだ。
ヴォイニッチ手稿の内容・解読
この本に書かれている内容は、現在の研究でも解読できてない。なので確定的なことは分からないが、いくつかの海外のサイトや、実際に本を見てみて分かった事を紹介していくことにする。
※ヴォイニッチ手稿は、PDFで全てアップロードされ誰でも見れるようになっています。読みたい方はコチラから。
ヴォイニッチ手稿の文字について
先ほどまで”奇妙な文字”と言っていた、ヴォイニッチ手稿に書かれている流暢な文字。
この文字を言語学の統計的手法で解析したところ、デタラメな文字列ではなく、確かな意味を持つ文字列だと判断された。しかし、自然言語なのか人工言語なのか暗号なのかすら分かっていない。
許可が取れていないので転載できないが、とても興味深い研究をされている「あばばばば」さんのサイトがとても参考になったので紹介しておく。
あばばばばさんのサイト:http://www.voynich.com/
ムコQ
このサイトの、『Voynich Manuscriptは何が書かれている、どのような書物なのか?』(http://www.voynich.com/voynich4/index.html)というページでは、この奇妙な文字に焦点を当て、様々な説を紹介している。
- 各行が機能的単位である→詩説
- 繰り返しが多い→1対多の置換暗号説
- エントロピー的には自然言語っぽい特徴を持つけど、でたらめな文字の羅列の特徴も同時に持つ→精神異常者の作品説
- 意味が解読できない→デタラメ説
- ある行で使用されている単語は、その前後でも出現しやすい→主題が一緒説
画像を使い、別の書物との類似性なども紹介していて、とても面白かったので是非アクセスしてみてほしい。
あと、コチラの記事では「古いトルコ語で書かれている」という説を紹介している。コチラもまた興味深い。
ヴォイニッチ手稿の絵について
※ヴォイニッチ手稿は、コチラから読めます。
書かれている絵によって、このヴォイニッチ手稿はいくつかの章に分けることができる。
- 草の章(実在しない幻想的な植物が描かれている)
- 星座の章(十二星座が描かれている)(カレンダーの章かも?)
- 生物学の章(解剖図と女性が描かれている)
- 天文学の章(星や空、天体が描かれている)
- 薬草の章(花瓶と植物の一部分が描かれている)
奇妙なのは、草の章に描かれている植物が全て実在しないという点だ。何のためにこれほど詳細な架空の植物の絵が描かれているのか理由は定かでない。
また、描かれた人物が全裸であることから、服飾に基づく文化や時代の判定も困難となっているのだ。
ヴォイニッチ手稿の歴史
作者も内容もわかっていないヴォイニッチ手稿。
もちろんこの本の執筆時期についても不明だ。
しかし、2011年にアリゾナ大学で行われた放射性炭素年代測定によると、使用されている羊皮紙は1404年〜1438年頃に作られたものだとわかった。(執筆時期は15世紀以降という事で間違いない)
wikipediaによると、「最初の確実な所有者はプラハの錬金術師ゲオルク・バレシュ(英語版) (1585–1662) である。」としているが、真相はやはり分からない。
最後に
これまでに、8人の学者が解読に成功したと主張してきた。しかし、誰も決定的な根拠は得られていない。
機械学習やAIが台頭してきた現代。こういう膨大な量の言語を研究し、統計的視点が必要な研究こそ、AIは得意なのかもしれない。
AIの発達によって、この世界一ミステリアスな写本:ヴォイニッチ手稿の謎が解ける日は近いかもしれない。
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