【レヒニッツ写本(Rohonci-kódex)】792種類もの文字で綴られた、未解読文書

レヒニッツ写本ーーそれはオーストリアで見つかった、792種類の文字で綴られた、とある不可解な本。

科学者たちは、ハンガリー語・ダキア語・初期ルーマニア語・クマン語・ヒンディー語など様々な解釈をし、説を提唱した。しかし、未だに何語で何が書かれているのかは解明できていない。

まあ研究が難航するのも無理はない。不可解なのは、文字の種類が異常に多いだけーーではなかった…。なんと、「右下から左上に読む」という歴史上初の何とも奇妙な文書だったのだ。

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レヒニッツ写本とは

画像:https://kripto.blog.hu/2014/12/04/a_vilag_harmadik_legrejtelyesebb_konyve_magyarorszagon_van より

レヒニッツ写本。それは今までにない文字・ルールで書かれている唯一無二の文書だ。意味はさっぱりのほか、挿絵さえも訳がわからない。

作者・制作時間についての謎が多かったギガス写本や、文字は意味不明だったが挿絵で考察できたヴォイニッチ手稿などとはレベチ(若者語。訳:レベルが違う)なのだ。本当に意味が分からない。

レヒニッツ写本のデータ

やっぱまずは本のサイズとか色々をまとめてみた。少しづつ本についてのイメージを膨らましてワクワクして頂こうと思う。

画像:http://www.esascosas.com/codex-rohonczi/ より

レヒニッツ写本のデータ
  • サイズ:12cm × 10cm
  • ページ数:448ページ
  • 材質:ヴェネツィア紙(1530〜1540年頃のイタリア製の紙)
  • 横書きで、右から左読み。さらには下から上に読む。(諸説あり)
  • 文字・内容・著者・執筆時期は不明。(後述)
  • 文字数は792種類もある

サイズに関して、過去に紹介した重さが75kgもあるギガス写本と比較するには何とも参考にならなすぎるため、わかりやすい例を準備してみた。

そう、わかりやすい例というのが、みなさん慣れ親しんだiPhone5s。古いか。最近、9通り越してiPhoneXとかいう10万超えのブルジョワケータイをリリースしたApple。5sなんてだいぶ前だと思うかもしれない。

画像挿入:iPhoneSEとXの比較画像

iPhone5sは縦が12.38cmで、レヒニッツ写本と縦の大きさはほとんど変わらない。こうやって想像してみると意外と小せえレヒニッツ写本。この小さい本の中に、各ページ9〜14行の文字が窮屈そうに並んでいるのだ。

「レヒニッツ」というのは、発見された地名にちなんでいる。正式名称はロホンツィ=コーデクス、「ロホンツィ市の写本」という意味だ。ロホンツィ市は現在、レヒニッツ市になっているため、「レヒニッツ写本」という名で日本では知られている。この記事では名称をレヒニッツ写本で統一してお伝えしていく。

そしてこのレヒニッツ写本についてはコチラにアップロードされていて、誰でも読めるようになっている。

レヒニッツ写本の内容・考察

内容は無いよう。なんつってね。はい。この章では、

  • レヒニッツ写本の文字・内容(諸説あり)
  • レヒニッツ写本の挿絵(写真紹介)

の豪華2本立てでお送りする。栗原類も満面の笑みで飛び跳ねながら喜ぶくらいの豪華さだ。やったね!

(注:栗原類さん。又の名を”ネガティブすぎるイケメンモデル”。タロット占いなどもできる181cmのイケメン。ネガティブでクールなイケメン。)

レヒニッツ写本の文字

読む方向(左右)について

画像:https://www.holybooks.com/wp-content/uploads/Rohonc-Codex.pdf より

これが文字だ。全くもって意味が分からない。どうやって読むのだろうか?まず参考程度に、コチラの画像をみてもらいたい。

これを見て貰えばわかると思うが、左から右に文字を読む文章の時は必然的に左揃えになる。そして右側はボコボコしてしまうのだ。

では、レヒニッツ写本の文字の並び方はどうだろうか。もう一度画像をみてみて欲しい。よくみると右揃えなのが分かっていただけると思う。左側がボコボコしている。研究者曰く、この文章はアラビア語のように右から左に読むらしい

読む方向(上下)について

「何語で書かれているか」という様々な説によって、『上から読む説』と『下から読む説』が混在している。ここで証拠を示すことができないのでなんとも言えないが、海外のサイトによると、文字の規則性や、繰り返しなどを調べた結果、下から読む説が提唱され続けているとのこと。

そして、仮にこの本が『下から読む説』が正しければ、今までの歴史家の理論を根底から覆す「歴史上初の、”横書きで下から上に読む”文書」なのではないか、という位置付けになっている。

ちなみに、下から上に読む文書って縦書きだったらあったのか?ーーと気になったので調べてみると、1つだけあった。それがオガム文字だ。

画像:http://gadara.blog.jp/archives/2603527.html より

オガム文字とは、古アイルランド語の表記に用いられたアルファベットのことである。
アイルランド島やスコットランドに石碑が多数残されていて、4世紀(あるいはそれ以前)から発生したと考えられ、5〜6世紀に盛んに用いられた。

オガム文字は1本の直線に対して横や斜めの線が引かれることでそれぞれの文字を表し、さらにそれを下から上に読むという非常に珍しい文字構造を持つ。

引用:http://gadara.blog.jp/archives/2603527.html より

まあでもレヒニッツ写本との関係性はなさそうだ。

何語かについて

読む方向は定まってきたが、やはり肝心の何語なのかどうかが全然分からない。今まで提唱されてきたのは、

  • ハンガリー語
  • ダキア語
  • 初期ルーマニア語
  • クマン語
  • ヒンディー語

以上の5つだ。しかし、どれも科学的に裏付けがあるわけじゃない。全て紹介するのは面倒なので、有力な説などをいくつか紹介していこう。

説1.ハンガリー語説

この説は、写本中に書かれている文字が古代ハンガリー文字であるとみなし、ハンガリー語版のルーン文字であるロヴァーシュ文字との類似性を唱えている。何を言っているのか分からないって?どういうことか詳細をお話ししていこう。

まずルーン文字というのは、「呪術や儀式に用いられた神秘的な文字」のことを指している。そういった、儀式に使われるような神秘的な文字には、音素が表記の単位になっている、音素文字が使われることが多い。

音素文字というのは、母音と子音でできていて、それらを組み合わせることで成り立っている文字のことを指す。

そして、ロヴァーシュ文字というのは、ハンガリー語の”音素文字”なのだ。要は、英語の『laugh』の発音を表す音素文字は『 lǽf |l ːf』といった具合だ。実際のロヴァーシュ文字がこれだ。

比べて見たが、実際に写本にはこれの何倍もの文字数があるので、なんとも言えないといったところだ。だが確かに似ている文字もないこともない。

他にも、ハンガリー史上最初の公式文書である、イシュトヴァーン1世が下した勅許状の文字が似ているから初期のハンガリー語なのでは無いかという説もある。10世紀当時のハンガリーではラテン語が公式な言語だったようだが、この勅許状はギリシア語(と複数のハンガリー固有の文字)で書かれていたらしい。なので、ハンガリー史における謎と言われている。

説2.ハンガリー語ではないが何語か分からない説

ロチュマーンディ・ミクローシュという研究者が、1990年代中盤にコンピューターを用いて記号列の解析を行った結果、記号列の規則性を証明し、「全くデタラメな文章ではない」という結論を出した。

同時に、ロチュマーンディによると、アルファベットの「i」のように見える記号は、文章同士を区切る役割をしているという結論も出した。また、「i」のように見える記号は、『11』を意味するか、もしくは『数値の桁区切り』にも使われていた可能性もあるとのこと。

このことから、ハンガリー語の特徴が全く見つけられなかったため、歴史的背景から結論付けていた”ハンガリー語説”を真っ向から否定した。しかし、何語かは分からなかったみたいだ。

説3.下品なラテン語とルーマニア語説

画像:https://en.wikipedia.org/wiki/Rohonc_Codex#/media/File:RI2.jpg より

この説は、とあるルーマニアの哲学者によるもの。翻訳本まで出版されているのだ。そして、この本によれば読む方向は、『右から左、下から上へ』となっている。

この翻訳本によると、この写本には軍事関係の事がメインで書かれているらしい。以下は翻訳本からの一部引用である。

「かなりの数の、激しい戦いの中で、恐れることなく、英雄として行動してください。大きな騒音で前進して、ハンガリーを一掃して敗北させてください!」

翻訳本からの引用

しかし、本まで出したものの、翻訳の内容に関しては科学者からの批判が絶えないらしい。なんでも、翻訳本の内容が、挿絵となんの関係も無かったからだ。(挿絵については後述)

説4.贋作説

この意見は、ハンガリーのとある歴史家が提唱したもの。写本に関わっていたとされる人が過去に詐欺まがいなことをしていたから、この写本は全てデタラメである、というなんとも反応に困るような説だ。

一応文字には規則性があり、いくつもの文字列の繰り返しも確認されたのでこの説の信憑性は極めて低いだろう。

レヒニッツ写本の挿絵

やはり何語か分からなく、ちゃんと翻訳されているわけでは無いので、挿絵を見ながらなんとなくで判断するしかないようだ。なんとなく挿絵を見ながら、こんな感じかなあって紹介していくことにしよう。ちなみに、この写本には全部で87つの挿絵がある。宗教・世俗・軍事的な場面を含む挿絵がほとんどで、キリスト教やイスラム教が共存する挿絵もある。

そして、何を示しているのかは分からなのだが、「翼を持った人」「普通の人」「王冠をかぶった人」など何種類かの人が出てくる。

 レヒニッツ写本の挿絵1

翼を持った人が、死人・病人に祈りを捧げている様子。

 レヒニッツ写本の挿絵2

三日月に乗った翼を持った人が、王冠をかぶった人に何かを渡している様子。

 レヒニッツ写本の挿絵3

翼を持った人が、死人の前の太陽に祈りを捧げている様子。

 レヒニッツ写本の挿絵4

一番不思議な挿絵。この男は、この文書の主人公(英雄?)だとも言われていて、教会の前で聖杯を持って座っている様子。翼を持った人でもなく、普通の人でも王冠をかぶった人でも無い。

 レヒニッツ写本の挿絵5

2人の翼を持った人が、巨大な橋の上(虹の上?)で向かい合っている様子。左右には三日月と太陽があり、橋の下には3つの山が描かれている。

さいごに

未解読文書系は、調べるのにめちゃめちゃ時間がかかる。疲れた。ギガス写本や、ヴォイニッチ手稿についての記事も過去に書いたのでぜひ読んでいってもらいたい。

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参考文献

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